まず,典型的な吹奏楽ギター譜の例がこちらです。
sample3

譜例1
sample4
譜例2
sample5
譜例3

これらの譜例はどれも実際の吹奏楽のギター譜です。
エレキギターの楽譜はTAB譜が一般的ですが,吹奏楽ではなぜかコードとリズムしか書かれていません。
そして譜例3ではなぜかリズムも書かれていません。

吹奏楽のギター譜ではこのジャズミュージシャン仕様の楽譜の表記法がなぜか一般的になっています。
リズムの表記も適当であることが多く,また稀にリズムが全て省略してあることがあります。
したがって,ギター奏者はほとんどコード記号だけを頼りに演奏することになります。
コードの音域の指定もないので,ギター奏者は曲の雰囲気に合わせて適切な音域を選択する必要が出てきます。

そして,譜例からもわかるように簡単なコードがほとんどなく,コード記号一つ一つの情報量が多いです。
吹奏楽は楽器数の多さが起因して,コードが複雑になる場合が多く,またジャズやクラシックの分野の曲になると♭5コード,シックスコード,ディミニッシュコードが急に増えます。
メジャーコード,マイナーコード程度だったらロック出身のギター奏者でも覚えている人は多いかと思いますが,吹奏楽においてはさらに複雑なコードを多く覚える必要があります。

実際の演奏においては,僕の場合は9th,11th,13thの音は表記があってもたいてい省略しています。コードチェンジも忙しく,無理に弾こうとすると押さえ方が難解になることが多いので…
それに,9th以上の音があんまり他のパートと被ると響きが濁りますし…(言い訳)

それでも省略が基本的にできないコードがいくつかあり,これらは覚える必要があります。
・ディミニッシュコード 例:Cdim,Edim7
 隣の構成音が全て短三度の関係になっている。頻出。押さえ方が難しい。
・オーギュメントコード 例:Daug,Faug7
 隣の構成音が全て長三度の関係になっている。押さえ方が難しい。  
・マイナーセブンス♭5 例:Cm7-5,Dm-5
 5音が半音低いディミニッシュに良く似たコード。頻出。
・メイジャーセブンス♭5 例:C-5,D7-5
 あんまり出てこない。押さえ方が難しい 。
・サスペンデット4 例:Dsus4,E7sus4
 めちゃくちゃよく出る。ロックでもよく出る。

 これに加えて,省略できないことはないですがセブンスコード,マイナーセブンスコード,メイジャーセブンスコード,シックスコード,マイナーシックスコードは覚えた方がいいです。しょっちゅう出てくるので…